いとこの部屋で無理やり聴かされたレコードから、私のハードロック人生は始まりました。雷に打たれたようなあの衝撃。
大人になって気づいたのは、その音の正体がジミー・ペイジのギターでもプラントのシャウトでもなく、一人の男の叩き出す『グルーヴ』だったということ…
レッド・ツェッペリンとの衝撃的な出会い
私がツェッペリンに出会ったのは、80年代初頭。つまり、解散後です。近所に住む10歳上のいとこが大のロックファン。ジェフベックやクラプトン、ストーンズあたりが好きでその中にツェッペリンも入っていました。
小学校高学年の頃から求めもしないのに色々レコードを聴かされていました。「ベガーズバンケット」や「メインストリートのならずもの」なんかを聴かされて「な?これいいだろ?」なんて感想求められても小学生の私には「???」です。
もっとも、この体験が10代後半から効いてくるわけですが。その頃はよくわかりませんでした。
その中で唯一聴いた瞬間から衝撃を受けたレコードが1枚だけあります。正確にはそのレコードのオープニングナンバーだけですけど。
ツェッペリンの2枚目「led zeppelinⅡ」の最初の曲「whole lotta love / 胸いっぱいの愛を」です。
イントロのギターリフ。「デデーデデーデッツツデッツツデッツツ…」。かっちょえーーー!12歳でもでもわかるカッコよさ。ボーカルのシャウト、ドラムの入り方とへんてこなリズム、ブレイク明けのギターソロ。衝撃的でした。
私がそれまで聴いてきた音楽といえば、アイドル、YMO、高中正義ぐらいでしたから、それまでの音楽、そして、ストーンズにも反応しなかった私に雷が落ちました。それが中学生になったばかりぐらいでした。
ツッェペリンはこの曲ぐらいでしたが、それからの私はハードロック、へヴィメタルファンになりました。
そして、高中を聴いてエレキギターを始めた私は、リッチーブラックモアやマイケルシェンカーに傾倒していきました。
「静」と「動」の融合
ツェッぺリンは、ギタリストのジミー・ペイジが、ニューヤードバーズとして集めたメンバーで構成されています。
ベースはペイジと同じセッションマンとして活躍し、アレンジやレコーディングにも精通していたジョン・ポール・ジョーンズ。ボーカルがよそのバンドでで歌っていたロバート・プラント。ドラムがそのプラントが引っ張ってきたジョン・ボーナム。
私はその辺の事情についてはよく知りませんが、おそらく、たまたま集まった4人なのでしょう。プラントとボンゾは友人同士でプラントが誘ったらしいですけど。ペイジには明確なコンセプトは当初は無かったのだと思います、実力はあるメンバーをということだったとは思いますが。
業界に精通し、レコーディング経験も多い緻密なアイデアを持つペイジとジョーンズ、圧倒的な個人能力で観る者聴くものを圧倒する、唯一無二のプレイヤー、プラントとボーナム。
まさに「静」と「動」がぶつかり合い大喧嘩して仲良くなっちゃって融合しているレッド・ツェッペリンはこうして生まれたのです。
「Good Times Bad Times」はまさに名刺代わりの一発!
そんなかでレコーディングされ1969年早々に発表されたデビューアルバムの「レッド・ツェッペリンⅠ」の1曲目に収録されているのは「Goog Times Bad Times」。
最初に耳に入るツェッペリンの音ですが、当時のリスナーはどう思ったのでしょうか。まさに「初めましてーレッドツェッペリンと申します!」と名刺を差し出されたような、2分半程度のコンパクトにまとめられたナンバー。
計算しつくされたようなペイジのリフとギターソロ、後半になっていくにつれエモーションになっていくプラント、そして代名詞の「3連バスドラ」を連発するボンゾ。
「静」と「動」がうまく融合しレッド、ツェッペリンサウンドをいかんなく発揮した一撃です。
ツェッペリンサウンドの要はボンゾだと思う
レッド・ツェッペリンは、ブルースをベースとしたハードロック、そして、アコースティック、民族音楽・・・etcそういった音楽を演奏していたわけですが、私はそこが本質ではないような気がするのです。
私は、レッド・ツェッペリン サウンドの本質は、「ジョンボーナム」のドラムプレイなんじゃないかと思っています。
ジョンボーナムといえば、バスドラの大きさやパワフルなドラミング、とかくマッチョ系のドラマーというイメージが強いですが、小技もちょくちょく出してくるし、変拍子を得意としており、パワーだけのドラマーではないのですね。
あの、稀代のテクニシャン、故ジェフポーカロも、ボンゾのプレーを参考にして、有名なドラムパターンを編み出したりしています。TOTOドラマーであり超売れっ子セッションドラマーであるジェフフポーカロ
これは、そう思っている方とそう思っていない方、賛否両論に分かれると思うのですが、ボンゾ(ジョンボーナムの愛称)のドラムは唯一無二、彼だけが出せる音だと思うのですね。
ジミーペイジのギターも最重要サウンドだと思いますが、やはりボンゾだと思うのです、ひとつに絞れば。それは、あの、独特のグルーブ感。本当に感覚に近いものなのですが、彼にしか出せないグルーブ感です。
you tubeなどでよくツェッペリンのカバーバンドを観ます。特に海外のカバーバンドは、本当によく研究して細部にわたって気を使ってカヴァーしています。
しかし、仕方ありませんが、「コレジャナイ感」は否めません。なんでだろう?大きな声では言いづらいですが、息子のジェイソン・ボーナムのプレイでさえ「フツー」に聴こえてしまうのです。
ボーカルなんてプラントそっくりだし、ジミーペイジも笑っちゃうぐらい真似ています。しかし、ドラムのグルーブ感が違うので、どうしても、「・・・なるほどね」で終わってしまうのです。
「感」なので言語化は難しいですが、インストナンバーの「モヴィーディック」のライブver.聞くとわかりやすいです。
そう思うと、ボンゾは偉大だし、本当に唯一無二のドラマーなんだなと思います。
「John Henry Bonham Moby Dick !」
まとめー四つの個性がぶつかり合った「永遠の瞬間
ボンゾは豪放磊落な性格だったようで、その分変人扱いされたこともあったようでした。確か来日中ホテルで酔って暴れて出禁になったことがあります。
その酒が祟って1980年、ウォッカの過剰摂取で吐しゃ物をのどに詰まらせ亡くなりました。享年32歳。ツェッペリン、ドラマーがいなくなって後任どうする?って話になったようですが、結局、解散に追い込まれます。
メンバーに愛されていた男なので後任は考えられないということもあったと思いますが、自分はスタイル・技術的な観点でボンゾ以外のドラマーは考えられないから解散に踏み切ったのだと思います。だって、あんなドラム叩けるの後にも先にもボンゾしかいないんだもん。そうなるよねぇ。
結局、レッド・ツェッペリンとは、誰にも真似できない四つの個性がたまたま出会ってしまった『一瞬の奇跡』だったのかもしれませんね。ボンゾの死とともに彼らが潔く解散を選んだのも、その代替不可能なマジックを誰よりも自分たちが知っていたからではないだろうか。そう考えます。
あの夏、いとこの部屋で私の体に落ちた雷は、今も消えることなく鳴り響いています。もしあなたがまだ、あの唯一無二のグルーヴを体感していないなら、ぜひ音量を上げて『Whole Lotta Love』のスイッチを入れてみてほしい。そこには、40年以上経っても決して色褪せない『本物のロック』が、今も息づいているのだから。


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